コラム

“社内だけで、ここまでできる”スピードと戦略で魅せるラクスのオフィス構築術

インタビューに答える男性が話している様子。

2023年10月、クラウドサービスを提供する株式会社ラクスは、大阪・梅田の阪急グランドビルに第2オフィスを開設しました。

急成長による人員増加に伴い、物件選定後わずか半年という短期間でプロジェクトを遂行し、拠点拡張を実現。増床計画から設計・内装・什器選定に至るまで、すべてを社内で完結させる“オフィス構築の専門チーム”が、その手腕を発揮しました。

今回の増床プロジェクトでは、「旅するように働くオフィス」をテーマに据え、大阪という立地の意味を空間に反映。営業拠点としての機能性を高めながら、社員一人ひとりの働きやすさや誇りを支える空間づくりに挑戦しました。

戦略的な意思決定の裏にあったこだわりと工夫、そして今後の拠点戦略まで――。
スピードと創造性を両立した、新時代のオフィス構築の舞台裏をお届けします。

社内のスピード感ある体制がプロジェクトを推進

ラクスの新しいオフィスのラウンジエリア。モダンなデザインの椅子と机が並んでいる広々とした空間。

大阪第2オフィスを開設された背景や、今回のオフィス開設までの経緯を教えてください。

榎本様 :今回の新オフィス開設は、大阪で本店機能を担う「梅田ゲートタワー」が、急速な人員増加に対応しきれなくなったことが発端でした。採用が非常に順調に進み、想定していた拠点構想では追いつかなくなってしまったからです。

新拠点の検討を始め阪急グランドビルに決めたのは2023年4月。そこから、わずか半年で「大阪第2オフィス」が誕生しました。このスピード感を可能にしたのは、実は私たちの社内に、オフィスづくりを一気通貫で担う“ファシリティ部隊”が存在するからです。

多くの企業では、内装デザインや什器の手配などは外部ベンダーに委託することが一般的です。しかしラクスでは、総務部門の中にプロジェクトマネジメント、設計、デザイン、什器選定までを担う専門チームを構えています。言わば、オフィス構築における“内製化”を実現している組織です。

この体制があることで、外部との認識のズレや意思決定のタイムラグが極端に少なくなります。また、設計や工事に関する目利きが社内にいるため、コスト面でも大きなメリットがあります。例えばビル側から指定された会社での設備工事等の調整も自社で対応することで、過剰な仕様や費用の肥大化を防ぎ、コストダウンを図りながら質の高い空間をつくることができます。

実際、今回の大阪第2オフィスでも、設計からデザイン、家具の選定、現場管理までをすべて自社で行い、必要最小限の外部リソースだけを活用してプロジェクトを完結させました。こうした社内主導のオフィス構築は、全国的に見ても非常に珍しい取り組みだと思います。

「オフィスとは、企業の文化を体現する空間」。そう信じているからこそ、私たちはオフィスづくりを単なる“業務の箱”ではなく、“戦略的投資”として捉えています。業務効率や快適性はもちろん、社員の成長や組織の一体感、そして企業ブランドの醸成まで──そのすべてに貢献できる空間を、自分たちの手でつくりたい。そんな強い想いを持って、私たちはこの新オフィス開設プロジェクトに臨みました。

阪急グランドビルを選ばれた決め手は何でしたか?

榎本様 :最も大きな理由は、やはり“立地”です。梅田駅に隣接しており、大阪の交通の中心地にあるという点は、営業拠点としても、社員の働きやすさとしても、圧倒的な優位性を感じました。

また、創業の地が大阪であることも、私たちにとっては特別な意味を持ちます。新しい拠点を構えるなら、「やはり梅田で」という想いが社内には根強くありました。

信頼関係のあるパートナーであったことも大きな決め手の一つです。物件のポテンシャルと管理体制、そしてそこに流れる信頼感──すべてを踏まえたうえで、「ここしかない」と確信をもって意思決定することができました。

「世界を旅するような空間」を、チームで創る

明るい色彩で都市景観が描かれたラクスの新オフィスのリラックスエリア。 カラフルな建物のシルエットと飛行機が描かれたラクスのオフィスの壁のデザイン。

今回のオフィスで重視されたコンセプトや設計の方針を教えてください。

榎本様 :新しい拠点を設けるという節目に、「せっかくなら、社員の記憶に残るような、意味のある空間にしよう」という想いが、プロジェクトメンバーの中から自然と湧き上がってきました。

そこで私たちは、まず“ストーリー”からオフィスづくりを始めました。形やレイアウトではなく、「どんな体験を提供したいか」「空間を通じて何を伝えたいか」──そういった感性に近い部分を起点に、空間づくりのコンセプトを練り上げていったのです。

たどり着いたテーマは、コロナ禍での思いをヒントに「旅するように働くオフィス」。私たちの原点である大阪に拠点を構えるからこそ、大阪の“国際性”を表現したいと考えました。具体的には、大阪市が提携する“友好都市”をモチーフに、それぞれのエリアに異なる都市の世界観を投影しています。

エントランスは、私たちの拠点である「日本」からスタート。執務エリアは「ミラノ(イタリア)」「サンパウロ(ブラジル)」「シカゴ(アメリカ)」という3都市の特色をデザインに取り込み、それぞれが独立しながらも緩やかにつながるゾーニングとしました。単なるデザインの装飾ではなく、働く人が“空間に旅をする感覚”を得られるように設計しています。

そのような世界観をどうやってチームで具体化されたのでしょうか?

榎本様 :私たちが大切にしたのは、まず「想いありき」であること。レイアウトの利便性や動線設計ももちろん重要ですが、それ以上に「この空間をどう感じてほしいか」「何を伝えたいのか」という“感情の設計”から出発しました。

会議室の名前も、各ゾーンのモチーフ都市にちなんだ地名にしています。例えばミラノゾーンには“Elegante”、“Spiritosa!”など、その都市の象徴を連想させる名称を採用しました。また、ピクトグラムで定員を示すなど、機能性の中にも遊び心を散りばめています。

私たちラクスのオフィスづくりには、いわゆる“IT企業的なギラギラした派手さ”はありません。むしろ、重視しているのは「機能性」と「コストパフォーマンス」。商談用の1人用個室はあえて設けず、ヘッドセットを見直すことで各自の席から商談を行ってもらい、空間の効率性を高めています。奇抜さではなく、“働く人にとっての快適さ”を軸にしながら、必要最小限のデザイン要素で“ちょっと誇れる空間”を目指しています。

たとえば、社員が来客を迎えるとき、自分の働く場を自然と紹介したくなるような場所。それが、社員にとっての誇りであり、会社にとってのブランディングにもつながると信じています。だからこそ、細部まで意味を込め、チーム全体で楽しみながら空間づくりに取り組みました。

“正解”を決めない。現場の声と共につくり、育てていくオフィス

アウトドアスタイルの家具が配置されたラクスのオフィスエリア。 会議室の扉に書かれた「Elegante!」の文字。

オフィスづくりにおける社内の合意形成やプロセスの特徴を教えてください。

榎本様 :私たちがオフィスづくりで何より大切にしているのは、「全国どの拠点にいても、同じように働ける」ということです。どの場所で働いても、求める環境や使い勝手にブレがないこと。これは一見当たり前のように見えて、実は意外と難しいものです。

そのために、「一人あたり何坪」「会議室はこの割合で配置」など、いくつかの“スタンダード”を社内で設けています。ただし、それを絶対のルールとするのではなく、あくまで“判断の基準”として位置づけています。現場で働くメンバーからのフィードバックに応じて、常にアップデートしていく。そこに、私たちラクスの設計思想があると思っています。

今回の大阪第2オフィスでも、入居から間もなく社員を対象にアンケートを実施しました。「良かった点」「気になる点」「使いにくさ」など、リアルな運用に基づいた声を徹底的に吸い上げました。これは形式的な満足度調査ではなく、“次の改善のタネ”を拾い上げるための対話の一環だと捉えています。

社員の声はどのように活用されているのですか?

榎本様 :いただいた声は、すべて課内やチーム内にて精査し、「すぐに改善すべきこと」「次回に活かすこと」に分類していきます。たとえばコストがかからず、即対応できるものはすぐに手を打ちますし、構造的な課題や設備投資が必要なものは、次の拠点計画や標準の見直しに反映していく。こうした“継続的な改善のサイクル”が、私たちの強みだと考えています。

「この設計で完璧だ」と言い切ってしまった瞬間から、オフィスは古くなります。私たちは、“今あるスタンダードは、あくまで一時的な最適解にすぎない”という前提で、常に変化を受け入れる姿勢を持ち続けていきたいと思っています。

私たちのオフィスづくりは、その想いの積み重ねから成り立っています。

社内外へオープンに。“伝わる空間”としてのオフィス活用

ラクスのロゴを背景に立っている2人の男性。
(左:ラクス株式会社 榎本 郷さん、右:阪急阪神ビルマネジメント株式会社 オフィス営業部太田 直行)

今後の展望について教えてください。

榎本様 :今回の新オフィス開設は、私たちにとって「オフィスづくりのゴール」ではなく、「働き方を進化させるための起点」だと捉えています。

オフィス空間における満足度は高い数値にはなっているものの、まだまだ改善できるポイントや課題感はあると考えています。

“働く場所”というのは、固定されたハコではなく、企業の成長フェーズや戦略、価値観の変化に応じて進化させていくべき「可変資産」だと思っています。そうした柔軟性を持ちながら、これからの拠点戦略を描いていくつもりです。

太田:榎本さん、この度は貴社のオフィスに対する想いをお話いただき本当にありがとうございました。

弊社は管理会社という立場から企業の総務様とやり取りさせていただく機会が多いのですが、オフィスづくりに頭を抱えておられるという事をたくさん耳にします。

例えば、

「他の会社はどうやってオフィスを作ってるんだろう?」

「オフィスを移転するのって、何から手をつければいいのかわからない…」

「実際に他のオフィスを見て、参考にしたい」

こうしたお悩みに対する解決の一助として、ラクス様の大阪オフィスのオフィス見学会および情報交換会を実施させてもらえないですか?

榎本様:私たち総務という仕事は外部との交流が少ないのが現状です。だからこそ、他の企業の方々と情報交換ができればお互いに良い場になると思います。

執務エリアの一部を除き、エントランスやラウンジなど“ラクスらしさ”が詰まった空間を実際に見て感じていただき、参加者の皆様と私たちの間で、日頃の課題や工夫について、率直に語り合えるような場になればと思います。

それぞれのオフィスづくりの知見を共有し、互いに学びを深めることで、より良いオフィス環境づくりへとつながっていくと信じています。

オフィス見学会のご案内

ラクス様の協力のもと、オフィス見学と情報交換会を実施いたします。

日時
2026年2月6日(金)17:00~18:00
場所
阪急グランドビル 14階(株式会社ラクス オフィス内)
人数
最大20名(申し込み多数の場合、抽選とさせて頂く場合がございます)
参加費
無料
対象
・企業の総務・人事経営企画部門の方
・オフィス移転やリニューアルを検討中の方
※主催者、見学企業と同業の会社の方の参加はご遠慮いただいております。

VRでもラクス大阪第2オフィスをご紹介しております。
https://vvtr.jp/rakus-osaka2/

お申込みは以下フォームよりお願いいたします。

※掲載内容は取材当時のものです。